第3回 新人歓迎会  2010.6.5

同じ日本国内でありながら軽いカルチャーショックをもたらすほどの独特の文化を持ち、さわやかな松本では半日で乾く洗濯物が2日経っても乾かない、そんな関西の地で勉学に励むべく大学生としての一歩を踏み出し、一人で頑張っている後輩たちに、深志高校同窓会・関西支部の存在をお知らせして関西生活の心の拠り所にしていただくとともに、関西支部をますます盛り立てていくことを目的に企画された新人歓迎会。

今年はや第3回目の開催を迎え、すっかり関西支部の春の名物行事となりました。

『伏見見学会 〜お楽しみは新酒の試飲〜』 

29回卒・矢ケ崎さん(京都工芸繊維大准教授・建築史がご専門)の案内で昼下がりの伏見見学会に参加したのは、50-62回卒の新人さんを含む若者11名、49回卒以前の既存会員18名の計29名。先頭と最後尾におなじみの幟を立てた集団は、気温30℃の炎天下、近鉄桃山御陵前駅を意気揚々と出発しました。29回卒・矢ケ崎さんの懇切丁寧な案内で、伏見大手筋、油掛通り等、旧城下町を見て歩き、一軒目の試飲どころ、月桂冠大倉記念館へ到着します。
 
「月桂冠」の名前の由来や、用いる水の違いによる酒の味への反映など、ボランティア・ガイドのおじいさんの軽妙な語り口による日本酒入門のさわりの後、集団は観光順路に従って、どれも甘口で飲みやすい大吟醸・純米・ワインを超特急で試飲し、その後売店へと流れていきます。売り上げでは国内No.1という「月桂冠」、一般大衆の心を捉えたその甘味は、どことなく客慣れした雰囲気とも一致して、妙に日常に引き戻される気のする味なのでした。

大倉記念館を後にした集団は、ますます強まる太陽光線の下、龍馬が九死に一生を得た寺田屋を眺め、高瀬川の堤防を歩いて、川沿いにそびえる八角形の煉瓦煙突が目印の松本酒造さんへ到着します。

矢ケ崎さんのお取り計らいにより、非公開の書院・万暁院への入室をお許し頂き、心地良い自然の風を味わいながら休憩を取りました。創業二百余年という長い伝統を受け継ぐ松本酒造の現・社長さんの貴重なお話を伺い、先々代のこだわりの結晶ともいえる書院の造りと、書院から見渡す枯山水の厳かな雅を堪能しながら、一人ひとりに丁寧に振舞って下さったお抹茶とお菓子を有難くご馳走になります。

その後、珍しい納豆の煮物が5粒ずつ盛られた小皿が供されました。これを肴に酒を飲むのが松本酒造の慣わしだそうで、まずは大吟醸「桃の雫」を頂きます。キリリとした中に桃源郷へ誘うような味わいがあり、納豆の醤油味とよく合います。次に純米「山田錦」。こちらも颯爽とした飲み口で、やはり納豆の煮物によってさらに味が膨らみます。しばし現実を忘れ、悠久の空間に漂うひと時でした。

 関西支部のメンバーでなければ訪れることもない場所で、先輩方から伺う解説がまた奥深く、支部の行事に参加することで得られるものの大きさを改めて感じました。


『懇親会 〜「自治を叫びて」に涙しました〜』

 懇親会は例年通りリーガロイヤルホテル京都にて行われました。昼の見学会から人数はさらに増えて、歓迎される側22名、歓迎する側24名、計46名という大変嬉しい参加状況です。関西支部東京出張所長の31回卒・土川さんが里帰り参加を果たし、また松本からも先輩、後輩にご参加を頂いて、活気に満ちた会となりました。

 今回ご出席の中で最年長でいらっしゃる9回卒・齋藤さんのご発声による乾杯に始まり、事務局長の28回卒・宮坂さんの包み込むように温かな司会で、関西支部らしい和気藹々とした雰囲気の中、5つのテーブルを囲んで会は進行します。初めてご参加の同窓生がそれぞれにインパクトのある自己紹介を終え、豪勢な料理も一通りつまみ終えた中盤、できるだけ多くの先輩・後輩と接してもらおうと恒例の席替えタイムがやってきます。グラスと荷物を両手に会場をさまよう老若男女がようやく自分の席を探し当て、再び5つのテーブルが埋まったところで、いよいよ学生さん方の自己紹介です。にこにこ見守る先輩あり、教育的指導を飛ばす先輩あり、黙々とメモをとる先輩あり。どの先輩も皆、学生さんの参加を心から歓迎しています。

時間配分をわきまえた学生さんの自己紹介が終わり、懇親会のシメは『信濃の国』と校歌の斉唱です。今回は初参加の元・応管団長、35回卒・浅輪さんのコールによる『自治を叫びて』の大応援合唱もあり、これには全員胸も掌も熱くしたのでした。
 

 今年の新人歓迎会も大盛況のうちに幕を閉じました。これを機に今後の関西支部行事にも足を運んで頂ければ幸いです。毎回引率下さる29回卒・矢ケ崎さん、ご参加下さった皆様、ありがとうございました。 (文責:30回卒 奴久妻)